大事なお金のこと。

親がもしものときのお金について、どうやって親に話を切り出しましたか?

2024.07.19
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親がもしものときの家のこと、お金のこと、墓のこと。親にちゃんとしておいてほしいけれど、どうやって話を切り出した?

 独り身でも独り身でなくても、「親の介護」は誰でもいつか必ず直面する。
大事な親だから、できるだけのことはしたい。そう話すと、いろんな専門家が必ず言うのが「そのためにも親が元気なうちに、家のことやお金のこと、介護についてもよく話しておいたほうがいいですよ」。確かにそれはその通り。でも実は、そこが一番の難関。
親の老後のお金については、とにかく切り出しにくい、話しづらい。
そこをどう切り出したのか、どんなタイミングで? いろんな経験談から学んでみます。

〈case.1〉Mさんの場合(55歳)
お金の話は親子ではしづらいけれど、専門家に間に入ってもらうのは「アリ」です。

 私が最初に父に老後のお金の話を切り出したのは、実家の母がもしや認知症かも?と心配していたとき。そのタイミングで、父も末期がんで余命わずかと宣告。私はひとり身で、実家近くのマンション住まい、弟は海外で日本に帰ってくるのも年1回あるかどうか。父の治療のこと、母はひとりで実家においておけないし、施設に入れるのか、家はどうする?と考えたときに初めて、実家のお金事情を全く分かっていなかった事に気がつきました。
 それまでにも軽く「老後のお金とかは大丈夫?」と父に聞いたことがありましたが、「家を出たお前には関係ない」と一喝され、余命宣告後も、何度かお金の話をするたびにイヤな顔をされ、全く話し合いにならず。もっと早く、母がしっかりしているうちに相談しておけばよかったと悔やんでも後の祭り。でも父の死後、叔父たちに聞いて知ったのは、父は自分が亡くなった後の母がとにかく心配で、もし子どもにお金を全部任せたら使い込むのではという不安と、弟と私があとで揉めたら……との思いがあったようです。

 常々、「何かあればすぐ施設へ入るから心配するな」と言っていた父。けれどいざ手術、治療となったとき、「家で過ごしたい」という家への執着のようなものを知りました。

父の容態が悪化するにつれて、お金をどうしようかと悩んでいたときに、知り合いから「認知症だと診断されたらもうお金は下ろせないし、専門家も手出しできない。これでもし本当にお父さんが亡くなったら、その後のお母さんの介護や施設の費用は? 自分で出せるの? お父さんの意識がしっかりしているうちに専門家に相談しなさい」と言われて、相続に強い税理士さんを紹介してもらい、そこで何度も父への対応を相談し、最終的に「専門家からのアドバイス」という形で父に話してもらいました。

 知識がない私だけでは父を説得することは無理でしたね。最初はいやがっていた父も、その税理士に、母をはじめ、子どもたちにとっても一番良い方法を考えたほうがいいといわれて少しずつ考えが変わったよう。結果的に、そのアドバイスに納得し、その税理士に全部任せることを父自身が決め、奇跡的に父の体調が持ち直して退院できた一時期に、海外在住で日本の住民票がない弟が相続時に苦労することも考えて、公証役場で遺言書を作ってくれました。そのときには父も「お母さんにもお前たちにも一番良い方法を提示してもらった」と喜んでいました。

 私の周囲に、「親にそんな話を切り出せない」と言っているうちに、母親が認知症になり、介護していた父が突然死。結局親のお金を銀行から下ろしたりが一切できなくなって、毎月数十万円の介護費用を夫婦で負担している友人もいます。親子だとお金の話はしづらい、うまく伝えられないのも重々承知していますが、第三者や専門家が入ることでうまく伝わることがある、ということは知っていたほうがいいと思います。

〈case.2〉Sさんの場合(52歳)
お金の話はデリケートな問題。財産目当てと思われるのもイヤだし、
父母どちらかが亡くなってからでもいいんじゃないかと思っています 

今、80代の父は数年前にパーキンソン病を患い、要介護1の認定を受けました。父は70代半ばの母と二人暮らし。母は父や子どもに頼って生きてきた人なので、必要以上に助けてほしいと私に依存するようになったんです。

私は妹が一人いますが、県外に嫁いだので、実質両親の世話をするのは私。父の介護認定を受ける際も、妹はどこか他人事で、「心配だね」と言うだけで父の様子を見に来るわけでもありませんでした。私も介護認定なんて分からないことだらけでしたが、結局、周りの介護経験者にアドバイスをもらい、ずいぶん助けてもらいました。

今、周囲から言われるのはお金の管理。認知症になると口座が凍結されてお金が下ろせなくなるから今のうちに親にちゃんとしてもらった方がいいとか、認知症の症状が進むのはあっという間だからとか、施設に入居したものの毎月何十万とかかるのに親の預金が下ろせなくて困っているという話は、聞いてはいるんですけどね。

私としては親のどちらかが亡くなってからでいいのでは?と思っています。父母ともに年齢なりの物忘れはあるけれど認知症ではないし、まだ大丈夫じゃない?と延ばし延ばしにしています。こんな風に問題を先送りにしているのも、やっぱりお金のことってデリケートな問題じゃないですか。妹もいるし、財産目当てと思われるのも嫌。しかも父母にどうやって話を切り出していいのか。

以前、母から「長女なんだから私たちが死んだらこの家を守ってね」と言われたことがありました。私としては今住んでいる家もありますし、まして相続税を払って実家の管理をするとなるとどれだけお金がかかるのか。そんな話をしてから、それなら今のうちから相続税対策をしておこうよと伝えると、とたんに嫌な顔をされて。以来、両親にお金の話をするのはどこか気が引けてしまうのです。

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