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25年ぶりに再会した父と息子
空白の時間の謎を追うヒューマンストーリー

『大いなる不在』
監督・脚本・編集:近浦啓、出演:森山未來、真木よう子、原日出子/藤竜也 
2023年/日本 配給:ギャガ 
2024年7月12日より全国公開中。新潟では7月12日よりユナイテッド・シネマ新潟、9月6日よりJ-MAXシアター上越で上映

父と義母の間に何があったのか?

 東京で俳優をしている卓(たかし)は、幼い自分と母を捨てた父の陽二が警察に保護されたという連絡を受け、父の家がある九州に妻と向かいます。25年ぶりに会った陽二は認知症を患い、話すことに何の脈絡もありません。再婚し、父と30年を共にしていたはずの義母・直美は行方不明。卓は父と義母に何があったのかを調べ始めますが……。

 どうして義母は姿を消し、今はどこにいるのか。この物語は、その謎を卓が解き明かしていくミステリーであり、夫婦や家族関係の難しさ、人が老いること、衰えることの悲しみを淡々と描写していきます。

名優二人の鮮烈な演技

かつて大学教授として活躍した陽二が、認知症で少しずつ変化していく様子を演じた藤竜也さんは圧巻の存在感。サン・セバスティアン国際映画祭で日本人初の最優秀俳優賞受賞も納得の素晴らしさです。表情も動作も本当にリアルで引き込まれました。息子の卓役・森山未來さんも、複雑な心情を繊細に丁寧に表現。この二人の演技は大きな見どころです。

 理屈っぽくて頑固だった父親の別の面を発見していくことで、卓も変わっていきます。若き日の父と同じ旅をするシーンはしみじみと美しい。人の心とご縁は、ままならないからこそ愛おしく、大切なのでしょう。35mmフィルムで撮られたスケールの大きい映像を堪能するためにも、映画館での鑑賞をお勧めします。

『大いなる不在』
https://gaga.ne.jp/greatabsence/

執筆者:本間千英子
新潟市出身。大学で映画脚本を学び、卒業後は東京でほんの少し邦画制作と宣伝に携わりました。幼少時から映画、ドラマ、演劇、本などを支えに生きる還暦フリーライターです。ここではエンタメ全般のオススメ作品と旬の話題もご紹介します!

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