2024年1 1月1日公開　映画『十一人の賊軍』
出演：山田孝之　仲野太賀
尾上右近　鞘師里保　佐久本宝　千原せいじ　岡山天音　松浦祐也　一ノ瀬颯　小柳亮太　本山力
野村周平　田中俊介　松尾諭　音尾琢真／柴崎楓雅　佐藤五郎　吉沢悠／駿河太郎　松角洋平
浅香航大　佐野和真　安藤ヒロキオ　佐野岳　ナダル／木竜麻生　長井恵里　西田尚美
玉木宏／阿部サダヲ
監督：白石和彌、原案：笠原和夫
配給：東映　※PG12
2024年／日本

●2024年11月１日全国公開。新潟ではユナイテッド・シネマ新潟、T・ジョイ新潟万代、イオンシネマ新潟西、イオンシネマ新潟南、イオンシネマ県央、T・ジョイ長岡、J-MAXシアター上越で上映。また新発田で上映会を実施。

【新発田上映会】11月8日（金）13:00～、11月10日（日）9:30～、13:30～、17:30～ 会場：新発田市民文化会館

戊辰戦争で決断を迫られる新発田藩が舞台

　『仁義なき戦い』シリーズなどで東映映画の礎を築いた名脚本家・笠原和夫さん（2002年没）は、今から約60年前の東映専属脚本家時代、旧幕府派の奥羽越列藩同盟と、新政府軍=官軍との板挟みになった新発田藩の「旧幕府派を裏切った事情」に着目。

新発田藩城代家老・溝口内匠が組織した罪人集団「決死隊」＝賊軍と、国境の砦に侵攻する官軍が死闘を繰り広げるという物語を創造します。

綿密なリサーチの上で、約1年をかけ、笠原さんは『十一人の賊軍』の第一稿を書き上げます。しかし当時の岡田茂東映京都撮影所所長と結末で対立。激高して350枚のシナリオを破棄してしまい、プロットだけが残りました。

そのプロットを読んだ白石和彌監督が映画化を熱望。白石監督のヒット作『孤狼の血』（18年）、『孤狼の血 LEVEL2』（21年）でタッグを組んだスタッフと共に約3年をかけて完成させたのが今回の映画です。

新発田市出身・木竜麻生さんが重要な役で出演

公開に先立ち、プロモーションで新潟を訪れた白石監督と、溝口内匠の娘・加奈を演じた新発田市出身の木竜麻生さんにお話を聞くことができました。

白石監督は「正義対正義の物語。それぞれの正義が違うからこそ悲劇が生まれる。名もなき罪人たち、アンチヒーローが主人公であることが、この映画の魅力であり強さ。近年珍しい大型エンターテインメント時代劇です。アクションもあり、歴史を知らなくても楽しんでいただける作品」と話します。

さらに「私たちが享受している平和の陰に、犠牲になった人たちがいる。それについても、見終わって少し考えていただけたら、世界で戦争が絶えない今、この映画を作った価値があるのではないかと思う」と語りました。

続いて木竜さんは「生まれ育った新発田が舞台の映画に出演でき、地元の友だちや家族、親戚に『見てね』と言えるのは本当に幸せ」とニッコリ。

「加奈は凛とした、当時としては強気な面もある女性です。時代も社会背景も違いますが、大切な人への思いは現代の私たちと共通するものがあるはず。彼女の言動の奥にあるものを想像していただき、選んだ生き方をたくさんの方に見ていただきたいです」

豪華キャストの「覚悟」に胸が熱くなる集団抗争時代劇

千葉県の山奥にある採石場の巨大オープンセットを中心に撮影されていますが、新発田城と市島邸、南魚沼の雲洞庵でもロケ撮影を行っています。また、決死隊の一人として新潟市北区出身の元幕内豊山・小柳亮太さんが役者デビュー。堂々とした大立ち回りを披露しています。

妻を襲った新発田藩の武士を殺した「侍殺し」で死罪となった決死隊の「政」役・山田孝之さんと、決死隊を指揮する剣術道場主・鷲尾兵士郎役の仲野太賀さんがW主演。ほかにも溝口内匠役の阿部サダヲさんをはじめ、若手からベテランまで実力のあるキャストが勢ぞろいし、リアルで情のこもった表現を見せてくれます。

時が経つのを忘れてしまうほど、スケールの大きなアクション活劇。登場人物の全員に見せ場があるのにも感心しました。公開日が近くなりましたら、映画の見どころをネタバレしないように注意しつつ、じっくりご紹介します。ご期待ください！

●『十一人の賊軍』　公式HPhttps://11zokugun.com/

執筆者：本間千英子　

新潟市出身。大学で映画脚本を学び、卒業後は東京でほんの少し邦画制作と宣伝に携わりました。幼少時から映画、ドラマ、演劇、本などを支えに生きる還暦フリーライターです。ここではエンタメ全般のオススメ作品と旬の話題もご紹介します！