2024年1 1月1日公開　映画『十一人の賊軍』
出演：山田孝之　仲野太賀
尾上右近　鞘師里保　佐久本宝　千原せいじ　岡山天音　松浦祐也　一ノ瀬颯　小柳亮太　本山力
野村周平　田中俊介　松尾諭　音尾琢真／柴崎楓雅　佐藤五郎　吉沢悠／駿河太郎　松角洋平
浅香航大　佐野和真　安藤ヒロキオ　佐野岳　ナダル／木竜麻生　長井恵里　西田尚美
玉木宏／阿部サダヲ
監督：白石和彌、原案：笠原和夫
脚本：池上純哉、音楽：松隈ケンタ
配給：東映　※PG12
2024年／日本

●2024年11月１日全国公開。新潟ではユナイテッド・シネマ新潟、T・ジョイ新潟万代、イオンシネマ新潟西、イオンシネマ新潟南、イオンシネマ県央、T・ジョイ長岡、J-MAXシアター上越で上映。また新発田で上映会を実施。

【新発田上映会】11月8日（金）13:00～、11月10日（日）9:30～、13:30～、17:30～ 会場：新発田市民文化会館

全ての役者に見せ場がある！
あなたの「推し」がきっと見つかる

　役者さんたちの魅力を引き出し、スクリーンで躍動させることには定評のある白石和彌監督。今作で特筆すべきは、全ての役者さんが輝いていることです！

Ｗ主演の一人、新潟の駕籠屋「政」役の山田孝之さんは、耳の不自由な妻を凌辱した新発田藩士を殺害、罪人になるのですが、スクリーンに登場するファーストカットからパワフル！　周囲を圧倒するカリスマ性があり、決死隊として集められた罪人たちの中で自然とリーダー格になるのも納得です。妻への愛を最後まで貫く姿が切なくも美しい。「頑張れ！」と思わず応援したくなりました。

もう一人の主役、優れた剣の使い手である鷲尾兵士郎役の仲野太賀さんは、半年かけて稽古したという殺陣の素晴らしさはもちろん、信念を曲げず、義のために戦い続ける姿が泣かせます。卑怯な真似はしない！という決意みなぎる終盤は目を離せません。

　十一人の決死隊は政と兵士郎の他に9人、さらに新発田藩城代家老役の阿部サダヲさんなど「集団抗争時代劇」だけあって登場人物は多いですが、それぞれにちゃんと見せ場があります。ある意味、全員が主役みたいなもの。これはなかなかできることではありません。さすが白石監督！

見ていると自分の「推し」が見つかります。ちなみに私は「決死隊」メンバーで強盗殺人の罪を犯した「爺っつぁん」（本山力さん）のたたずまいがかっこよくてしびれました（笑）。

ド迫力のオープンセット
吊り橋シーンは必見！

決死隊が死守しろと命じられた砦が新政府軍との攻防の舞台になるのですが、このオープンセットがすごい！　千葉県にある山奥の採石場につくられていますが、広さは東京ドーム1個半ほど。そこに吊り橋、大門、本丸、物見櫓など全てがリアル。特に吊り橋の完成度はすごい。吊り橋のシーンについて、白石監督は1977年のアメリカ映画『恐怖の報酬』をイメージしたそうですが、確かに『恐怖の報酬』で危険物を積んだトラックが崩れ落ちそうな吊り橋を渡るシーンの迫力はすさまじかった。『十一人の賊軍』も負けていません！　吊り橋のシーンは要チェックです。

歴史に詳しくなくても楽しめる
時代劇エンターテインメント巨編！

時代劇というと「歴史を知らないから……」と敬遠する人は多いと思いますし、実際に私も歴史に疎い人間ですが、『十一人の賊軍』は十分に楽しめます。画面の隅々まで配慮が行き届き、次々と予想外の事態が展開する緊張感とエンターテインメント性の高さは驚くべきもの。

鑑賞後には戦争のむごさと、平穏な日々の尊さを実感します。生き抜くこと、生き続けることの力強さを感じられるラストシーンを、大きなスクリーンで見届けていただきたい！　この秋イチオシの、スケールの大きな時代劇エンターテインメントです！

●『十一人の賊軍』　

戊辰戦争の最中、奥羽越列藩同盟と新政府軍との間で揺れた新発田藩が舞台。日本近代史最大の激戦の陰で起きた、新発田藩の歴史的な裏切り…その史実から着想を得たオリジナルストーリーが映画化！

圧倒的不利な砦の護衛ミッションに挑んだ十一人の決死隊が、新発田藩、旧幕府軍、新政府軍…三者の思惑が交錯するなか、壮絶な戦いへと立ち向かう！

公式HPhttps://11zokugun.com/

執筆者：本間千英子　

新潟市出身。大学で映画脚本を学び、卒業後は東京でほんの少し邦画制作と宣伝に携わりました。幼少時から映画、ドラマ、演劇、本などを支えに生きる還暦フリーライターです。ここではエンタメ全般のオススメ作品と旬の話題もご紹介します！