周囲から大食漢ぶりに驚かれる50代後半の私。　
気になる店があればひとりで食べに行くことはしょっちゅうだが、酒場にはひとりで入る勇気がなく、ひとりで行ける酒場を開拓するのが目下の課題。　

ひとり呑みをする時の店選びの基準は人それぞれだが、私の場合、第一条件としてカウンター席があること。　

それに、周りが男性ばかりで、女ひとりで行って浮くような雰囲気の店は避けたい。　
欲を言えば、ごちゃごちゃした空間よりも、落ち着いた造りのお店がいい。　
もちろん、料理がおいしいのは言うまでもないのだが……。　

なんて、あれこれ、自分なりに考えてみると、
そんな私の理想を叶えてくれるお店が新潟駅前にある居酒屋「山姥」なのです。　

ひとり呑みにはハードルが高そうな地階。
でも、それ以上に行きたくなる魅力が満載

「奥阿賀の郷山姥」があるのは新潟駅前。
しっとりした雰囲気の中で阿賀町の食材を使った料理や郷土料理がいただける。
お酒は阿賀町の2つの蔵元、麒麟山酒造と下越酒造の酒をそろえた、日本酒好きの心もくすぐる居酒屋なのだ。

店は地下1階にあるが、地階にある居酒屋に入るのって、結構ハードルが高い。
まして、一人であればなおのこと。

だけど、この地下にあることが、隠れ家みたいな感じで、ひとり呑みを満喫できる。

玄関を入ると、黒光りした障子戸や箪笥を利用した靴箱があり、通路は石畳風。落ち着いた空間は女性好み。
小上がりは半個室になっていて、周囲の目を気にせずに過ごせるのも気に入っている。

ひとりの場合、カウンター席に案内されることが多いが、大抵はカウンター席というと、キッチンの前。
でも、こちらは、厨房から離れた場所で、いろりを囲んだコの字型のカウンター席がある。
だから、静かにお酒や料理が楽しめるのだ。

オーナーの江川さんは常連のお客さんから「大将」と親しまれていて、笑顔がチャーミングな男性。ひとりでお酒を飲んでいると、「おめさん、どこから来たの？」と気さくに話しかけてくれ、江川さんとの会話も楽しみの一つ。

「ここは大将が楽しいの。気兼ねしなくて過ごせるから、ひとりでも通いやすいのよ」とは80代の常連の女性。年を重ねても、行き付けの居酒屋があるのは、やっぱり憧れる。
江川さんによれば、「最近は女性がひとりで来る女性も増えている」のだそう。

日本料理出身の料理長が作る
酒のアテと地酒を満喫

食べることが趣味の私にとって、こちらでは何を食べてもおいしいのも大好きな点。
料理長は東京の有名店出身で、どの料理も一手間かけたものばかり。

一品料理の他に、阿賀町の郷土料理も人気で、「鰊の麹漬け」やぜんまいを切らずに一本ものを煮た「ぜんまい煮」なども味わってほしい。

そして、個人的にイチオシは「馬刺し」！
馬刺しは会津の郷土料理なのだが、阿賀町は昔、会津藩だったため馬刺しをよく食べるのだそう。

その馬刺し、鮮度の良いものを仕入れていて、テーブルに運ばれた瞬間に、その色鮮やかさにびっくり。
さっぱりとした口当たりで、にんにく味噌をつけていただくと辛味が加わり、これが本当に酒のアテに最高。

新潟では珍しい「たてがみ」と呼ばれる馬肉の脂身もおすすめ。脂っぽさを感じずにコリコリとした食感。コラーゲンを含んでいると聞けば、女性にとってはうれしいメニューだ。

ガッツリ系なら「とりの唐揚げ」も！　皮が香ばしくて、中はふっくらしていて、ビールとの相性も抜群だ。

居酒屋というと大抵は料理のボリュームが多い。時には２〜3人前のこともある。
それゆえ、ひとりで出かけても、食べ切れるか不安になるが、こちらはメニューによってひとり用のサイズがあるから、ひとり呑みにとって利用しやすい。

気になる料理を何品も注文しながら、地酒を楽しむのにぴったりな居酒屋なんですよ。

店舗情報

奥阿賀の郷山姥
tel／025-282-7785
住所／新潟県新潟市中央区東大通1-2-11グルメビル B1
営業時間／17時〜23時
定休日／日曜
Instagram／https://www.instagram.com/yamanba.okuaga/